いくら着物中心の生活だったとは言え、正装にあのシッカリした織りの丸帯を結んでいたことに驚きます。芸術的とも言えるこの丸帯は最近ではインテリアクロスがわりとして使われる事が多いのです。鑑賞にたえるのです。丸帯と言うと思い出されるのは、戦前、祖母が正装して写っていた写真の丸帯が遺品の中にないという事です。空襲で疎開し、お米と交換したのでしょうか。丸帯はその時代に生きた女性の思いを受け止めてきたのでしょう。そう想像しながら、帯や着物に触れていると戦争や困難を人と共にくぐり抜けた着物や帯がいとおしく思えます。